公益法人制度改革の正しい解説〜公益目的事業研究所

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help RSS 介護保険事業は公益目的事業に認定されるか?〜法政大学シンポの報告

<<   作成日時 : 2008/11/20 17:10   >>

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 ルルです。このところ、イベントのお知らせばかりになっていてすみません。茨城県のコモンズさん、福島県のうつくしまNPOネットワークさん、東京のNPO支援東京会議さんなど各地での講演と、8月30日、11月10日の主催シンポ、セミナーでてんてこ舞いになってまして。。。今日はシンポの報告をします。

 8月30日の法政大学大学院NPOプラットフォーム研究所のシンポジウムは約170人の参加、11月10日も約150人の参加と、連続して大盛況でした。
 8月30日は基調講演・パネリストをお願いしていた、政府税制調査会非営利法人課税ワーキンググループ委員の出口正之・国立民族学博物館教授がご家族の急病で急遽欠席となりましたが、もうお一人の講演者としてお願いした堀田力・さわやか福祉財団理事長のわかりやすいご講演があり、大変好評に終わりました。小生も急遽、制度改革の概要の説明を長めに変更し、パネル・ディスカッションのパネリストの代役も務めさせていただきました。

 11月10日は、8月30日の参加者の皆さんにお約束したとおり、再度改めて、出口さんをお招きしてのシンポジウムでした。

 出口さんは、「新公益法人が『税制3冠』(公益目的事業非課税、収益事業からの見なし寄附100%OK、寄付金控除)になったのは、NPO法人を含む非営利のセクター全体が高く評価された、具体的には何が見えていたかというと、NPO法人の臨機応変の活躍だった。もちろん既存の公益法人の中にもそういう目覚しい活躍もあったわけだが、社会一般から見れば、必ずしも既存の公益法人が評価されたものではない」ということを強調していました。

 そして、8月30日に最大の懸念として指摘された「介護保険のように営利事業者も参入している事業分野は公益目的事業として認定されないのではないか」という「営利競合」問題について、次のようなはっきりしたメッセージをいただきました。

 「政府税調において『不公平税制』とレッテルが貼られていた公益法人への税制について、充実させる方向へ流れが変わったのは、『わが国経済社会の構造変化の「実像」について〜「量」から「質」へ、そして「標準」から「多様」へ〜』というタイトルが付いた報告書(平成16年6月)が契機だった」と指摘。「この報告書において、これからは『量』ではなく『質』、『標準』ではなく『多様』が重要だと提起がなされ、そのニーズに対応するには政府セクターだけでは不十分ということで、民間の非営利セクターに対する強い期待が表明された。したがって、介護というのは、今般の改革の重要な柱であって、同じ分野に営利企業も入ってきているんじゃないかというようなことで公益認定を諦めるようなことがないように、ぜひしていただきたい。むしろ、こういう多様なニーズに対応することこそ、今般の改革なるぞということでご理解いただきたい。」

 営利競合については、「『前』には収支相償というフローの面で規制があって、『後ろ』の方にはストックの面で遊休財産の規制というものがある。原理的に、収支相償と遊休財産というものをくっつけたものと、一般の営利法人と競合できるはずがない。公益目的を掲げる以上、その目的に照らした活動を行えば、『営利競合』は起こらないはず、というのが基本的な考え方」と説明がなされました。

 つまり、公益目的(=別表に該当)を実現するための手段として合理性がある事業であれば、財産をきちんとその事業のために管理し、使用していれば公益認定されるということです。出口教授は「これまでの公益法人は主務官庁から許可されたというto beが大事だったが、これからは、何をやるのかというto doが重要になる」という表現をしていました。

 他にも出口教授からは、行政が「主務官庁」から「行政庁」へときちんと姿勢が変わるか、監視してほしいと呼びかけがあり、地方税について条例で寄附控除の対象にできるように地方税法が改正されたので、各地方での条例改正の取り組みが重要という指摘がありました。

 山岡義典・法政大教授(日本NPOセンター代表理事)からは「今回の改革は、とりあえず主務官庁制を覆すことができたということにおいて、非常に大きな意味を持っている。それ以外に様々な問題もあるが、とりあえず主務官庁制を壊した。このことによって、新しい公益法人制度もNPOの仲間に入れるし、NPO法人と言ってもおかしくない。そういう意味で言うと、NPO法人は特定非営利活動の専売特許ではなくなるということを、非常に我々としてはうれしく思う」との制度への基本的評価が提起されました。その上で、「しかし、本当に今の公益法人がそうなるかどうかは、私はかなり疑問に思う。これから新しくできてくるものについてはかなりそうなるだろう。今ある法人が本当に従来の枠を外れて、本当の意味でのNPOになっていただければ、こんなにいいことはないが。。。」と既存の公益法人に対しての厳しい「叱咤激励」(?)もとびました。

 NPO団体が税制優遇を受けるためのルートが認定NPO法人制度と新公益法人制度の2本になることについて、「アメリカの財団はパブリック・サポート・テストを通らない。それでも税制優遇はあるが、パブリック・チャリティに比べると不利。しかし、財団というのは、誰もサポートしてくれなくてもやるよという夢のある人がすごく特殊で新しいことをやると言うときに、一般からは本当に誰もサポートしていなくても、財団ならその事業を応援する社会的意義があると判断すればサポートできる。一方では、みんなが支えている、小口がたくさん集まる形の資金がいいねというのがパブリック・サポート・テストで、こちらの方はパブリック・チャリティとしてより有利な税制優遇がある。この二本があるからアメリカのNPOセクターはもっている。パブリック・サポート・テストによらない資金源とパブリック・サポートによる資金源と二つあって初めてイノベーションが起こる。」と指摘、従って、「裁量というか、きちんと見識ある委員の先生方が、これは世の中について重要だと思ったら認定できる仕組みは、あった方がいいと思う。」と話され、「NPO法はアメリカモデル、公益認定制度はイギリスモデル。NPO法人も公益認定を受けたら認定になる、一般法人もパブリック・サポート・テストを通れば認定NPOになる、という、法人制度とまったく関係なくいろんな形の税制優遇を取り入れるのが一番いい。」と「次」の制度構想も披露されました。

 菅原敏夫・地方自治総合研究所研究員は「NPO法人は簡単に法人格を取得できるという意味で間口が広いが、税制はあまり優遇されないという意味で奥行きは浅い。一方、まだ運用をみなければ分からないが、『新公益法人』は間口が狭くて、奥行きが深くなる可能性がある。この間口を広げることが今後の課題だ」と基本的な問題把握を提示、地方税について次のような指摘をされました。

「地方税が本当に抜本的に拡充されたというところが、新公益法人税制の最大の変化なのであって、寄附控除がどうこうという所得税の話よりも影響が大きいのではないか。三位一体の改革で所得税の基本部分は住民税に引っ越してきたので、そう遠くない将来に、所得税よりも住民税の方が大きいということに必ずなってくる。寄附のことに関してうんとラフに言うと、所得税が行っている所得控除というのはお金持ちには重要で、住民税の税額控除というのは、貧者の一灯、貧乏人にも等しくメリットが及ぶ。寄附ということを考えたときに、全員同じ税率がかかっていて、全員同じ制度が利用できて、そして貧者の一灯であるということは、寄附文化に関して非常に大きなインパクトを与える。最低制限額も10万円から5000円に引き下げられた。」

 そして、「それぞれの自治体に条例の制定が任されているので、本当にちゃんと出揃って、本当にちゃんと一人一人が住民税を控除できるようなことになるのかどうか、私たちの社会の、寄附の感度というものが問われている。条例は直接請求もできる。」と今後の指針を示されました。

 我がNPOサポートセンターの山岸秀雄理事長(法政大学大学院客員教授)からは、小規模なNPO団体を公益認定から排除しようとする東京都の独自基準問題に反対するアドボカシーの実践が報告されると共に、「NPO法を我々がつくった目的としては、社会的な課題を解決するということと、成熟した市民社会に向かって社会システムの変革を目指すという、二つの目的が(少なくとも自分には)あった。市民が社会に参加することによって明治維新以来の『緩やかな革命』を起こすということ。市民セクターをどうやって形成していくかということについては、これまでもNPOは相当な礎を築いてきたのではないかと評価している。
 そしてこの新公益法人の制度は、市民社会や市民の形成の、大きな道具になると期待している。我々が社会をつくるときには、様々な選択肢、多様な選択肢を手に入れることによって築いていく。ひとつの目標であった市民セクターをどう形成していくかということについて、今こそ市民セクターを論じる絶好の機会に入ったというふうに考えている」と大きなビジョンが提起されました。

 会場一杯に詰めかけた参加者から質問もいろいろと出され、最後まで熱気に包まれたシンポジウムでした。小生もパネル・ディスカッションのコーディネーターを務めさせていただき、歴史的な意義深いイベントに関われたことを光栄に思います。この場を借りて、パネリストと参加者の皆さんにお礼を申し上げます。

 いよいよ、民間非営利団体(NPO)が税制優遇を享受するためのルートとして、新公益法人制度は活用を探るべき選択肢の一つであるということは、ほぼセクターの共通了解になってきたと言えると思います。12月1日から新制度がスタートします。
 今月25日(火)には、公益認定等ガイドラインと新・新公益法人会計基準の策定に携わった元公益認定等委員会参与の高山昌茂さん(公認会計士)をお迎えして、公益認定のための実践セミナーも開催します。どうぞご利用ください。(※高山さんの「高」は「ハシゴ高」が正当です)

ルル こと 富永さとる

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公益性の構造転換〜パブリック・ベネフィッ...
2008/12/01 21:05

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